小学生生活がスタートした。
毎朝、登校班の集合 場所の公園に集まり
集団登校だ。
僕としては朝、保育園まで送って行く手間が無くなっただけでも楽になった。
保育士さんの「行ってらっしゃい」が聴けなくなったのは寂しいが・・
学校に通うのが楽しみなのでしょう。
いつも時間より早く集合場所に行くは良いが
・・誰も来ていない。
すると不安になるのでしょうね。
半ベソかいて戻って来るのです。
「お父さんも一緒に行ってよ!」と言うのですが僕は行かない。絶対に行かない。
甘やかしてはいけないのです。
いろいろな困難苦難を2人で乗り越えて欲しい。僕は見守るだけにした。
「そろそろ時間だからみんな来るよ!」と言うだけです。
すると泣きながらも2人で行くのです。
そして、僕はそっと隠れて2人を見ている。
(実は凄く心配なんですよ!)
なんとか全員集合で登校です。
それが1週間続きました(笑)
そして、その日は休みを取った。
1年生のお迎え当番だからだ。
1年生は最初、給食無しで早帰り。地区ごとの当番が迎えに行くのです。
普段はウチの2人はバスで学童に行くので、歩いて家に帰ることはないのですが、今日は特別。・・歩いて学校にお迎えに行ったのでした。(1年生の初めは本当に手が掛かります)
時間より早目に家を出て学校に向かうと
通学路の脇に川が流れている。
その川の流れを見て、自分が遠い昔、1年生だった頃を想い出した。
随分と昔になってしまったが・・今でもハッキリと覚えていることがある。
当時も入学して数日は保護者が迎えに来た。
今と違って学童なんてなかったので地区ごとに1年生は全員まとまって当番の保護者と帰った。
しばらく歩くと河川の工事をしていた。
川の中でブルドーザーが土砂を押している。
男の子にとってはとても興味のある光景です。
足を止めて数人で工事の様子を見ていると・・。
迎えに来たT君のお母さんが一言。
「学校で勉強しないと将来、こんな仕事をやることになるよ!」と言ったのだ。(この言葉は今でも忘れていない)
子供から見れば楽しそうな仕事。
砂場遊びが大きく発展したような魅力満載な仕事だ。本物のブルドーザーやショベルカー
がグイグイ動いていてワクワクするものだ。
・・そんな子供の興味に勉強の名目で釘を刺して、更に職業を差別したのだ。絶対に子供に言ってはいけない言葉だと思う。
1年生の僕でもこの言葉に違和感を感じた。
「外仕事の人は勉強しなかったのか?」
「じゃあ、勉強たくさんやった人はどんな仕事をしているのか?」
家に帰り親に訊いてみた・・。
「勉強をたくさんした人は、夏は涼しい場所、冬は暖かい場所で仕事をしているんだよ」と言われた。
(親としてはシンプルに教えたつもりだったのだろう)
・・僕は「何か違う!」と思った。しかし、
それをハッキリと説明してくれる大人は僕の周りにはいなかった。
せめて「T君のお母さんは酷いことを言うね」と言って欲しかった。
その後・・将来の夢が僕の中から消えた。
(そのT君。それから10年後に暴走族に入ってしまったのです。・・今になってその理由が分かった様な気がします)。
そんな昔を思い出しながら歩いていると学校に着いてしまった。
やっぱり子供には夢を与える言葉を掛けなくてはいけない。
「今日は何か夢を与えるような事を話ながら帰れれば良いなぁ・・」などと考えていた。
1年生が玄関から元気に飛び出して来た。
地区別に分かれるが人数が少ないのに驚いた。
それに対して学童には長い列。
殆どの子供が学童に直行なのです。
それだけ核家族と働くお母さんが多いのでしょう。ウチの地区は娘2人の他に2名だけの4人だった。
一列に並んで学校の門から出ると間もなく踏切。その時、カーン、カーン、カーンと遮断機が降りてきた。
すると一人の男の子が「あっ!特急だ!」と言った。
「電車が好きなの?」と訊くと
「うん。大好き!」
そこで僕はクイズを出したのです。
「電車がどこまで来るとカーン、カーン、カーンとなるのでしょうか?」
すると「見えるところまで!」
「近いところ?」「???」
ここで、間違っていても○○mなんて言ってくれたら嬉しかったのですが・・1年生には無理かな?・・。
「答えはねー踏み切りの500m手前なんだよ!」と言った。
子供よりも一緒にいたお母さんの方が感心していた。
少し歩くと今度は川が流れている。
すると数羽の白い鳥が川の浅瀬にいるので、またクイズを出してみた。
「あの白い鳥の名前はなぁーに?」
すると4人の子供全員が、「つる~」と答えたのには笑ってしまった。
「ブッ、ブー・・・あれは白鷺って鳥なんだよ!」皆、へぇー!と声を出している。
「では白鷺は今、何をしているのでしょーか?」すると思い思いの回答が出る(笑)
「水遊びー」・・うーん惜しいね!
「お風呂~」・・(笑)違うよー。
「エサを探している!」・・ピンポーン正解でーす。
・・「あとで鳥の図鑑を見るといろいろ知る事が出来るよ!」と教えてあげた。
今度は一人の男の子からクイズ
「ここは誰の家でしょう?」
もう一人の男の子が
「お前の家だ!」
「ピンポーン・・バイバイ」
「また、明日~」
そして、少し歩くと歩道でもう一人の男の子のお母さんが待っていた。
「お世話になりました~またね!」
でバイバイして家に辿り着いたのでした。
子供達に夢を与える話は出来なかったけれど
チョッとは楽しんで貰えたかな?
ウチの子達とは、何時もこんな感じで外に出た時には話をしていたのです。
・・まぁ、それには普段から植物・昆虫・動物の図鑑で僕自身が学習をしていたのですけどね!(それは子供には内緒です)
そして、間もなく授業参観に家庭訪問。
1年生の子のシングルファザーにとっては
忙しい4月でした。
つづく