シングルファザーの子育てブログ

双子の女の子を育てるシングルファザーの奮闘劇。

それは天罰だ!

20代後半から40手前まで働いていた会社があった。

 

先日、その会社の前を通ったら

別の会社の看板に変わっていた。

(同業会社の社名)

「倒産したのか?」と思った。

確かに、近年はコロナによる生産縮小での倒産は多い。

 

家に帰って調べてみた。

倒産情報には出ていない。

看板の会社のホームページを見てみたら、その会社の太田工場と記されていた。・・いろいろと調べていくうちに、どうやら「身売り」したらしい。

 

俺は、ニヤリと笑ってしまった。

人様を粗末に扱うから

そうなるのだ!

 

 

20代後半に俺はこの会社に入社した。

大手自動車メーカーの直の下請け工場だったのだが、なにせ品質が悪くて、いつもメーカーからクレームか来ていた。

あまりにも品質が悪くて直の下請けから外された。そして、間もなく社長が急遽した。

 

「この会社、終わりだな」と皆が口にしていた。もちろん、俺もサッサと辞めようと思っていた。

だが、他の下請けメーカーが助け舟を出した。その会社の下請けとなり(つまり二次下請け)亡くなった社長の奥さんが新社長となったのだった。

だが、新社長は全くの素人で、お飾りの社長だったのだ。

 

俺は給料もそのままだったので、

会社に残ることにしたのだった。

 

そんなある日、

いつものように仕事をしていると、

後ろに大男が立っていた。

背は俺と同じ位だが、横にもデカい。

顔は、内山信二みたいな不細工デブ面。

その男が、「俺と同じ年だな、よろしくな!」と言って来た。

「誰だ!このデブは?」と思った。

・・・その男は社長の後継者として入ってきた女壻だった。この会社の専務として入社してきたのだ。

 

社長も素人なら、この男も素人。

前職は建機レンタルの営業をしていた。

そんな何も知識の無い二人がトップなのだから幹部社員も大変だった筈だ。

 

俺は給料が貰えるなら

そんなことはどーでも良かった。

 

いつも通りの仕事をしていると、

何処からか怒鳴り声が聞こえる。

専務が幹部を怒鳴りつけていた。

気になって仕事の手を止めて見に行くと、事業部長と口論していた。

面白いので暫く隠れて見ていると、

専務が大声で、

「お前はクビだぁー、帰れ!」と

怒鳴った。

事業部長は首をうなだれ

トボトボと歩いて事務所に戻ってしまった。

その日を最後に事業部長が会社に来ることは無かった。

そして、事業部長に続き管理者が次々に辞めていくことになる。

要するに、自分に意見をする者や、

従わない者は徹底的に排除していた。

 

こんなこともあった。

ある朝、派遣社員が入って来た。

初日で、たまたま早く着いてしまったその人は工場の中を見て歩いていた。

すると、前から歩いて来た専務と肩がぶつかった。その直後に・・・、

「貴様は人にぶつかって謝ることもできないのかぁ〜」と怒鳴り、「帰れ!」と言って帰してしまった。

仕事に就く事もなく帰されてしまった

派遣社員・・・気の毒としか言えなかった。

 

 

 

俺の場合、同じ年ということもあって、

文句を言われることも無く、勤務成績も非常に良かったことから気に入られた。

但し、馴れ馴れしく「あくちゃん」と呼ばれるのは勘弁してもらいたかったが・・。


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(転職サイトでの誰かの書き込み、俺が辞めた後も相変わらずだったようだ。)

 

 

その後、3年程過ぎた頃、

俺は製造部の班長に任命された。

まぁ、班長なら上には係長、課長がいるので責任も軽い。

「それ位なら〜良いだろう」と引き受けたのだが、その半年後に思いもよらぬ事が起きた。

当時の製造課長が大きなミスをしてしまい2階級降格で班長の待遇になってしまった。そして、何と!俺が製造の責任者(課長)に抜擢されてしまった。

 

専務からは

「今後、管理業務に専念してもらいたい。現場は全て任せる。俺は口出ししない」と言った。

更に、「一生、会社で面倒を見るので、一緒に会社を発展させよう。」と言って来たのだ。

ただ、俺は今まで数人も言いなりにならない幹部をクビにして来たのを見てきた。

 

なので、「製造は私が責任をもって管理します。但し、現場で大声を出して怒鳴らないで欲しい、社員が萎縮します」

それに対し、

「わかった、約束する」と専務は言った。

 

その約束を守って貰うことを条件に

引き受けることにしたのだった。

 

だが、約束を守ったのは最初だけ、

直ぐに、大声を出して怒鳴るようになった。時には、俺が注意するとヘソを曲げて仕事を放棄して帰ってしまうことも度々あった。

 

だんだん、俺も

「こんな幼稚なバカの下で仕事がしたくない!」と思うようになった。

時々、部下にも

「あれじゃやってられない」

「経営者があんなのじゃ駄目だ」と

ついつい漏らしてしまった。

(それを告げ口する者がいて、俺を排除するシナリオが作られて行ったようだ)

 

ある日、機械トラブルがあって

明日の早朝の納期の品が間に合わなくなった。

専務はその仕事を担当していた、

入社したばかりの社員に

「終わるまで帰るな!」と怒鳴っていた。夜、9時を過ぎて3割程しか出来ていない。俺は担当社員に「俺がやるから帰っていいよ」と言い、作業を引き継いだ。結局、終ったのは午前3時。

「終わるまで帰るな!」と言った本人は

9時前には帰っていた。

だんだん怒りが湧いて来た。

 

翌朝、「お前は自分の責任と言うものが分かってないのか?」と、担当社員を専務は怒鳴っていた。

 

俺はさすがにキレた。

「機械のトラブルなのだからコイツには責任はない。 それに、現場は自分が管理している。あまり口出ししないで欲しい」と負けないくらいの大声で言ってやった。

更に、「今まで何人辞めさせた? ふざけるな!」と言ってやった。

 

(ここで、「クビだぁ〜帰れ!」と言われると思ったのだが・・、)

 

「ここは俺の会社だ!」と怒鳴って事務所に戻ってしまった。


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(これにも書かれてますね!)

 

 

翌朝、出勤すると、

社長が俺を待っていた。

俺を解雇するためだった。

 

しばらく話し合いをしていて

社長は「確かに専務は怒鳴ったり、それは良くないと思う。でも、怒鳴るってことはそれだけ真剣な証拠。それに女壻を解雇する訳にはいかない。」と・・。

俺は何を言っても無理だと思い。

解雇証明書を一筆書くように社長にお願いした。

 

書類を受け取り、

帰り際に「こんなに粗末に人間を扱う会社はいつか天罰が下りますよ!覚えておいてください。」と俺は言った。

 

 

辞めてからの話だが、

同業他社の人達から

「よく、あの人の下でやってたねぇ・・!」と、よく言われたものだ。

やはり、世間的にも評判は悪いようだ。

それに、一度だけ道ですれ違ったことがあって、すれ違いざまに俺だとわかったのだろう「馬鹿野郎」と怒鳴っていた。

 

 

今回、その天罰が下ったようだ

長い間、思い出すたびに嫌な思いが蘇る会社が世の中から消えた。

俺は何とも言えないスッキリした気分になった。