シングルファザーの子育てブログ

双子の女の子を育てるシングルファザーの奮闘劇。

言葉は凶器。

「のろま」と言う言葉がある。

なんとも嫌な感じの言葉である。

他人を馬鹿にする者が使う言葉だ。

 

意味を調べると、動作や頭の働きの鈍い人のことを、「のろま」と言うようだ。

 

例えば、食事や買い物に行った時などに

店員の対応が遅かったりすると、

「のろま」と思ってしまうだろう。

まぁ、口に出してその店員に言ってしまう人は少ないだろうが、言われてしまうと激しく傷つく言葉だ。

 

 

僕は過去に一度だけ、「のろま」と言われた事があった。(言われたというよりも、書かれたのです。)

・・・それは、小学校の時の卒業文集で

クラスメイトの性格が書かれたもので、

僕のところに「のろま」と書かれていた。

書いた奴は、勉強も出来て

スポーツ万能の石井聡至という奴。

なんかねぇ・・顔が松平健(笑)みたいで女子からも人気があった。

 

普段は、「あくちゃん」「さっちん」と呼びあう仲だったのに、「のろま」とは、とてもショックだった。

 

僕は、その日以来

現在に至るまで、人さまから

「のろま」と言われないように

常に心掛けているんだけど・・。

 

 

でも、どんなに頑張っていても

人から「のろま」と言われてしまう人もいる。それに、加えて何をやってもミスばかり・・・・、

そんな男が会社のMだった。

 

Mとは別の部署なのだが、

黒縁メガネをかけていて小太りで、歩くのも遅い。でも、礼儀正しくてなんとなく愛嬌のある顔をしている。

でも、仕事ではミスを連発して

自分よりも一回りも若い社員から

いつも文句を言われていた。

その度に、ペコペコと頭を下げて

謝っていた姿を何度か見た事があった。

 

(僕は、何もそんなにペコペコすることないのに・・・と、いつもそんな彼の姿を遠くから見つめて思っていた。)

 

とにかく仕事が遅かったようで、

同じ部署の人達からは「のろま」と

言われていたようだ。

 

でも、彼は一生懸命に頑張っていた。

少なくとも、僕にはそう見えた。

 

 

そんな日々が続き、

彼も相当のストレスが溜まっていたのだろう・・・、昨年の秋くらいから体調不良で休む日が増えてきた。

 

 

「今日も駐車場に車が無い」

「今日で3日連続かぁ・・・」

と、僕の部署でも彼を心配する声が

聞こえるようになった。

 

今年に入り、

彼は体調不良との理由で

一ヶ月会社を休職した。

 

 

僕は・・もしや?

「ワクチンの後遺症なのでは?」と

密かに思うようになった。

 

ウチの会社は、「みんなで打ちましょう!」と、ワクチン接種を奨励していたからだ。(僕は断固打たなかったけど)

今、世間ではワクチンの後遺症に苦しんでいる人がたくさんいる。

芸能ニュースを見ても、あの人も

この人も体調不良だ。

きっと、Mもそうかも知れない。

このまま、Mは辞めてしまうかも?

 

しかし、そんな心配を他所に彼は休職明けに普通に出勤してきた。

相変わらずスローペースの仕事で

ペコペコしながら仕事をしていた。

 

そんなある日、

僕は彼に声を掛けた。

彼と言葉を交わすのは初めてだった。

「大丈夫か? 元気になった?」

すると彼はニコッと微笑み

「はいッ、大丈夫です!」と、キリッとした口調で応えた。

「うるせぇ奴がいるけど、そんな奴は気にすんなよ!」と僕は言った。

すると、彼は苦笑いをしながら頷いた。

ホントは「ワクチン打ったのか?」と聞きたかったけど聞けなかった。

(ワクチンの話は、今度誰もいない時に聞いてみょうと思った。)

 

その後は、度々休みながらも

彼は勤務を続けていた。

以前のように、連続で休むようなことも無くなった。

 

「頑張っているな・・」と思っていたのだが、今週の月曜、火曜と体調不良で休んだ。

 

「明日には来るだろうなぁ・・来たら、話し掛けてみよう」と思っていた。

 

 

 

 

水曜日の朝礼で

上司から彼の死が伝えられた。

(前日に自らの命を断ったのだ。)

 

 

 

 

今週は仕事をしていても

彼の姿が頭をよぎってしまい、

集中出来なかった。

 

直接の原因は解らないが、

・・・何故?、何故?が頭の中を連呼する。

 

もし、仕事のストレスが原因なら

彼は逃げるべきだったのだ。

以前、このブログにも書いたのだが、

逃げることは、決して恥ずかしいことではないのだ。命を守るためなら逃げるべきだったのだ。

 

よく昔、「命懸けでやれ!」と言う

馬鹿上司がいたが・・・、命を懸ける仕事なと一切無いのだ。

言葉は時には暴力になる。

特に、「のろま」と言う言葉は暴力そのものだ。

 

それに若い子がTVの影響なのか、

冗談で言う「一度死んでみたら!」

あれは絶対に止めて欲しい。

肉親や大切な人を亡くした経験が無いから言える軽口なのだ。

 

 

 

 

 

この世に命より重いものは無い。

嫌なら逃げても良いのだ。

・・・その夜、僕は娘達に命を大切さを話しながら涙をこぼした。