シングルファザーの子育てブログ

双子の女の子を育てるシングルファザーの奮闘劇。

逃げる事は卑怯ではない。

8月15日は終戦記念日

 

毎年、思い出す話があります。

母が話した、彼女の「お兄さん」の話。

 

時は、第二次世界大戦の真っ只中。

戦況は日本が劣勢になった頃。(だと思う)

 

母は4人兄妹の末っ子だった。

戦時中は、学校へ行っても勉強はする事が出来ずに、主に子守をしていたり、農作業の手伝いをしていたようだ。

当時の母は、今の私の子供達と同じくらいの年齢だ・・。

自分が親になって、改めて、幼い頃の母の苦労を思うと胸が熱くなる。

 

そんな時、母の長兄に赤紙が来た。

召集令状だ。

 

召集令状が来ると、出征を祝って

家族や隣組の人達が家に集まり

「万歳!、万歳!」と出征を祝い、宴が催されている様子をテレビドラマで見たことがあった。

 

母の家でも、ドラマのような?宴の準備が進められていたそうだ。

隣組の人達が集まり出した頃、

母は、その主役の兄の姿がない事に気がついた。家の中や周りを探しても、何処にも姿はない。

 

母は、赤紙召集令状)が届いてから、兄の泣いている姿を何度も見ていたそうだ。

「もしや?」と思い、裏山に兄を探しに行った。

・・・すると、母の兄は

    木の枝に結んだ紐にぶら下がって

    いた。

自ら、命を断ったのだ。

 

母はよく言っていた。

「兄は戦争から逃げた」

「兄は根性なしだった」と。

 

 

僕が子供の頃、

上級生に虐められたり、学校で嫌な事があったりしては泣いて、勉強の成績が悪いと愚痴を言っていた。

・・・すると、母は

「お前は根性無しで私の兄に似ている。」と

よく言っては、その話をした。

 

子供なから、何時もそんな話を聞かされると嫌になる。

「俺は、そんな人間じゃない!」と何度も

思ったものだ。

・・・母は、弱い心の僕を強く育てたい

ために、その話をしていたのかも知れない。

 

 

大人になってから、

時々、考える事がある。

母か言っていた「兄は根性なしだった」と言う言葉。それは彼女の本心だったのか?

 

逃げた兄の事を

「お国のために戦地に行かなかった根性なし」と言ったのは軍国主義の洗脳を受けた周囲の者達だったはすだ。

「非国民」とも言われたのかも知れない。

・・それを言われたのは、残された母や

母の家族達だったと思う。

 

「兄は根性なしだった」・・その、母の言葉には、母の幼い頃の辛さも込められていたのだろうと、今は思える。

 

僕は逃げることは恥ずかしくないと思う。

もちろん、人間は困難に立ち向かい

困難に打ち勝って成長する。

しかし、理不尽な出来事が自分に襲いかかって来たら逃げても良いと思う。

それは、恥ずかしい事ではない。

 

もし、今

戦争が始まって 

召集されたら、あなたなら

お国のために命を捧げられますか?

 

多くの人は「嫌だ!」「ふざけるな!」と

言い叫ぶでしょう。

・・・そうです。それが当たり前です。

何故なら、我々は軍国主義に洗脳されていませんから。

 

しかし、あの頃のように軍国主義の教育を受けて洗脳されていれば・・。

洗脳された者達の中で、「逃げる」行為。

僕は卑怯だとは思わない。思えない。

 

 

 

最近は、当時と違うモノに洗脳されている人か多くなってきた。

「任意」のはずなのに、

「義務」のようになって来た。

やがて、「強制」になるのでは?

 

それに・・・もっと、何か?大きな事が起こるような気がして堪らない。

 

しかし、どんな時代でも

逃げる事も大切だと思う。

逃げる事は、必ずしも卑怯で恥ずかしい事ではないのです。

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・子供が、難しい勉強で投げ出そうとしている時は、「逃げるな!」と言っていますけどね!(笑)