シングルファザーの子育てブログ

双子の女の子を育てるシングルファザーの奮闘劇。

卒園式【前編】

今年はとても暖かい(2020年3月)

桜の開花も非常に早いようだ。

あの年もそうでした。

 

そんな2年前の卒園式のお話です。

 

2818年3月、双子の姉妹の卒園。

とうとうこの日が来た。

前日は年少組から学習したワークやらノートを一人分ずつまとめていた。

卒園式に持って来るようにと連絡があったのです。


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3年分ですから凄い量です。

就学前にこんなにも・・驚きです。

 

子供達が眠ったあと、この6年間を振り返っていた。無我夢中で頑張ってきたつもりだ。

投げ出したくなった事もあった。

慣れない事の連続で心身共に疲れた日も続いた。……てもそんな時、必ず助けてくれる人がいた。自分の本気さが伝わっていたのかも知れない。

子供達も僕のような父親で幸せなのだろうか?

母親のいない寂しさを我慢しているのだろうか?

そんなことをぼんやりと考えていた。

 

「どうかな? ここまで合格点かな?」と妻の写真に語りかけていた。

「明日はママも連れていくよ!」

 

その日の夜はなかなか眠る事が出来なかったのを覚えています。

 

 

 

当日の朝、早めに家を出た。

卒園式の前にお墓参りをするためだ。

こども園の裏にはお寺があり、その霊園にお墓があるのです。何時も近くで我が子を見守っていたと思います。

卒園式には似合わない地味な花束を持って

3人でお墓に行って卒園の報告です。

「今日は卒園式だよ……こんなに大きくなってさぁ……もうすぐ始まるから一緒に行こうな!」と僕は声を掛けたのです。

隣で不思議そうな顔の2人だった。

 


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3人で園に向かうと既にほとんどの卒園児が

来ていた。

子供達は教室で待機。

僕は1人、会場のホールで席に着いた。

「あぁ、4月から毎朝来ることはなくなるのか!」と思うとなんだか寂しい。

毎朝、子供達を預けた時の先生の

「行ってらっしゃい」の言葉の暖かさに励まされ続けた。

何か心に熱いものがこみ上げてきた。

すると、スクリーンに映像が流れた。

ひとりひとりの子供が、頑張ったことや両親への感謝の言葉を伝えている。字幕には先生からのコメント。

駄目だ!・・他の子の言葉に涙が出て来そうだ。我が子の番になったら泣いてしまうだろう。周りを見渡すとハンカチで涙を拭いているお母さんが何人もいた。

 

しかし、ウチの子の番になり・・・

「おとうたん、何時も遊んでくれてありがとう」と言っている映像が流れた。

「おとうたん」はないでしょう?。(笑)

僕はその言葉に思わず吹き出してしまい

何故かひとりでニヤニヤしてしまった。

(ニヤけていたのは僕は1人だろう)

 

しばらくして、卒園児が担任の先生を先頭に入場してきた。

昨年ぐらいまではこんな時、僕を探してキョロキョロしていた2人だったが、今日はちがう。そんなちょっとした事でも2人の成長を感じたものでした。

式が始まり順番に卒園証書を園長先生から受け取っている。そして、その子供の親は中央に立って見守っている。・・証書を受け取った子供は親の前まで来て「感謝の言葉」を伝えるのだ。・・ココ一番、泣ける場面です!

ウチの子達は最後から3番目と2番目だ。

 

しかし、この時!

始まってしまったのだ!!

・・僕の病気。

病気なんて書くと大げさかも知れない。

「・・まずい、来てしまった。しっかり薬も飲んだのに、始まる前に済ましておいたのに・・・アカン」。

その病気は『過活動膀胱』と言ってトイレが

近くなってしまう病気なのだ。

「今なら・・」とも思ったのだが、この場面で会場から抜けるのは勇気がいる。

「きっとこの後、良いタイミングがある」と

自分に言い聞かせて堪えた。

 

そして、我が子の順番だ。

僕は妻の写真を持って娘の卒園証書授与を見守っていた。

(しかし、我慢も限界に近づいている)。

1人目が壇上から降りてこちらに向かって来る。

「うっ・・」

僕の前に立って感謝の言葉を言っている。

(我慢しながら下を向いている僕)

「これからも頑張って!」と莉緒に言うのがやっとだった。



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今度は2人目。

(長い、なんだか凄く長く感じる)

真優が僕の前に来た頃には、尿意を我慢するのに必死で何を彼女は言っているのか分からなくなっていた・・。

とりあえず僕は「頑張るんだよ!」と言ったのだが、それは自分自身に対してだった。

 

「頑張るんだ!」・・やっと席に戻りトイレに行こうと思ったのだが・・今行くときっと誤解される。

「トイレで号泣している」と思われてしまうのではないか?

そんな誤解はされたくない。

「だから、今は行けない!」

 

全員の卒園証書授与が終わり、園長先生のお話が始まった。僕は園長先生の話を楽しみにしていたのですが・・

 

大変失礼だとは思いながらも、もう無理だ。

僕はそっと席を立ってトイレに向かったのでした。

 

大慌てで戻ると、園長先生のお話は終わろうとしていた・・・嗚呼。

 

 

全く、感動の涙どころの話ではなく

トイレを我慢していただけの卒園式になってしまった。

「・・あぁ、情けない」

 

この後は謝恩会があるのに、今度は薬の副作用なのか口が乾き、眠気も襲って来ている。

 

 

数日前に「保護者を代表して挨拶をしてくれないか?」と保護者会の会長から打診されていたのだが、断って本当に良かったとこの時は思った。

 

卒園児はみんな園庭に出て行こうとしている。僕はフラフラしながらその後に続いて歩いていた。

 

 

 

果たして、この後に「感動の涙」はあるのだろうか?

 

 

                                            後編につづく